PS5通常モデルと「デジタル・エディション」、その違いと注意したいポイントをチェック

ソニー・インタラクティブエンタテインメント(SIE)の新型家庭用ゲーム機「PlayStation 5」(PS5、プレステ5)が2020年11月12日に日本で発売されました。グラフィックスを始めとした処理性能やデータ読み込み速度の大幅な向上が図られ、これまで以上に新しく、迫力あるゲーム体験を楽しめます。

 PS5で気になるのは、機能と価格が異なる2つのモデルがラインアップされていること。どちらを買えばいいのか、迷っている方もいるのではないでしょうか。2つのモデルの違いや注意点などを紹介しますので、PS5を購入する際の参考にしてください。

PS5|飛躍的に高まった性能

PlayStation(プレイステーション)シリーズの5代目の据え置きハードとなる「PS5」。先代の「PlayStation 4」(PS4、2013年発売)、「PlayStation 4 Pro」(PS4 Pro、2016年発売)と比べて、あらゆる点でパワーアップが図られています。

 CPUは8コア/3.5GHzと、PS4 Pro(8コア/2.1GHz)、PS4(8コア/1.6GHz)から高速化。ゲームの要であるグラフィックスを司るGPUの処理能力も10.3TFLOPS(テラフロップス)に強化され、PS4 Pro(4.2TFLOPS)、PS4(1.84TFLOPS)をはるかに上回ります。物体への光の当たり方をシミュレートすることで生まれる陰影や反射をリアルに再現する「レイトレーシング」にも対応。4Kに加えて8K出力や、最大120fps、120Hz出力(対応タイトルによる)も可能になっています。

 メインメモリは16GB(帯域幅:448GB/秒)と、PS4 Pro(8GB、218GB/秒)、PS4(8GB、176GB/秒)から倍増し、帯域幅も大幅に拡大。ストレージは読み込み速度が5.5GB/秒という825GBのSSDを採用することで、HDD搭載のPS4 ProとPS4から飛躍的なスピードアップを実現。ロード時間の短縮などが期待できます。

 コントローラーも一新。付属する「DualSense ワイヤレスコントローラー」は、没入感を高める触覚フィードバック、抵抗力を変化させるアダプティブトリガー、チャットが可能な内蔵マイクを搭載しています。ワイヤレスヘッドセットやHDカメラなど、デザインが統一された純正周辺機器もラインアップされています。

PS5|2つのモデルが存在! 比較と、注意したいポイント

PS5では、全機能を搭載する通常モデルに加え、光学ディスクドライブ(Ultra HD Blu-ray対応)を省いた「デジタル・エディション」もラインアップされています。

 価格は通常モデルのPS5が5万4978円(税込)なのに対し、デジタル・エディションは4万3978円(税込)。2022年9月15日からは、通常モデルが6万478円(税込)、デジタル・エディションが4万9478円(税込)に値上げされます。

 通常モデルとデジタル・エディションの価格差は1万1000円。2モデルのどちらを選ぶかが、PS5を購入する際の大きなポイントになります。

性能は同じ

PS5の通常モデルとデジタル・エディションは、光学ディスクドライブの有無以外、スペック上の性能は同じです。

 最大の違いとなる光学ディスクドライブですが、新たに「Ultra HD Blu-ray」に対応したドライブを採用しています。ゲームディスクの容量は最大100GBとなり、PS4とPS4 Proが対応するBlu-ray Disc(BD)の最大50GBから倍増しています。

 Ultra HD Blu-rayはBDの後継規格であり、「4K Ultra HDブルーレイ」とも呼ばれています。映画などの映像ソフトを4Kで出力するためのもので、PS5の通常モデルはUltra HD Blu-rayプレーヤーとしても利用できます。対応プレーヤーが2万円前後で販売されていることを考えると、ゲーム機としての能力も高いPS5の通常モデルはかなりお得感のある価格設定と言えそうです。

 デジタル・エディションはパッケージ版(ディスク版)のソフトを遊ぶことはできず、公式のPS Store(PlayStation Store)から購入できるダウンロード版のみという割り切ったモデルです。かつての「PlayStation Portable go」(PSP go、2009年発売)を思い出す方もいるかもしれません。

本体サイズなどに違い

ただし、光学ディスクドライブ以外にもちょっとした違いはあります。

 まず、本体サイズが通常モデルの約390(幅)×104(高さ)×260(奥行き)mmに対し、デジタル・エディションは約390(幅)×92(高さ)×260(奥行き)mm。デジタル・エディションのほうが、厚さ(高さ)で12mmだけ、薄くなっています。

 本体重量も通常モデルの約4.5kgに対し、デジタル・エディションは約3.9kgと、ドライブが省かれている分、デジタル・エディションのほうが軽量です。最大消費電力も通常モデルが350Wなのに対し、デジタル・エディションは340Wとなっています。

注意したいポイント

 一部のPS4向けタイトルをPS5向けにアップグレードし、PS4版を持っているユーザーにアップグレード版を無料か割引価格でダウンロード提供するサービスがあります(公式サイトの説明)。

 ここで注意したいのは、アップグレード対象のPS4ソフトがパッケージ版(ディスク)の場合、PS5でアップグレード版を入手するには、PS5にPS4版ディスクを挿入する必要があり、またプレイ時もPS4版ディスクをPS5に入れっぱなしにしておかなければならない──という点です。

 つまり、持っているPS4ソフトがパッケージ版だった場合、PS5でアップグレード版を楽しむには、PS5の通常モデル(ディスクドライブあり)が必要ということになります。PS4ソフトがダウンロード版だった場合、PS5ではそのままダウンロード版を入手できると考えてよいでしょう。

PS5|どちらを買うべき?

光学ディスクドライブの有無以外、性能は変わらないPS5の通常モデルとデジタル・エディション。据え置きなので本体サイズや重量などの違いはあまり問題にならないでしょう。選択のポイントは光学ディスクドライブが必要かどうか、そこに1万1000円分の価値があるかどうか──ということになりそうです。

 PS4版ソフトをパッケージ版(ディスク版)で多く持っている人は、通常モデルを選べばアップグレード版でも遊べます。また、購入したパッケージ版を遊んでからショップに売却し、次のソフト購入の原資にするというスタイルの人も通常モデルが向いているでしょう。ゲームだけではなく、映画などの映像ソフトも4Kで楽しみたい人なら、通常モデルのUltra HD Blu-rayプレーヤー機能は魅力的でしょう。

 ソフト購入はダウンロード版で十分という人なら、通常モデルより割安なデジタル・エディションはお買い得。中古ソフトは遊べませんが、最近は公式ストアのセールやPS Plusの加入者特典であるフリープレイも充実しています。映画など4Kのエンターテインメントコンテンツをストリーミング再生する機能も備えており、“円盤”にこだわりがないのであればリーズナブルな選択になりそうです。